東京の中古マンション価格相場が上昇した理由を徹底解説!~本当の買い時と売り時はいつか?(2019年)

 アベノミクスがはじまった2013年以降、東京の中古マンション価格相場は急激に上昇しました。 国土交通省が価格動向を指数化した『不動産価格指数』によると、東京都のマンション価格相場は2013年→2018年で約40%上がったことになります。

価格相場はどうして上昇した?理由は…

 主な中古マンション価格相場の上昇要因は、『住宅ローン金利の低下』にあります。金利が低下すると、買主が借りられる住宅ローンの金額が増えるからです。

 アベノミクスと同時に始まった日本銀行の政策によって、国債の利回りは0%程度にまで低下し、国債に連動する住宅ローン金利(固定)も2008年頃の3%程度から1%程度に低下しました。

価格相場が高いから今は買い時ではない?上昇前と後を徹底比較

 中古マンション価格相場が上昇する前と上昇した後の違いを、比較してみました。

 今回は、中古マンション価格が低水準だった2012年頃ではなく、2008年と現水準2018年で比較してみます。
※金利はフラット35(固定金利)で、返済期間21年以上35年以下、融資率9割以下を前提としています。ただし、中古マンション価格の全額を借り入れたとして試算しました。制度変更された2017年10月以降は、借入金利から新団信分0.28%を控除しています。

2008年1月の金利は2.82%、東京23区にある中古マンションの平均価格3,456万円。総返済額は約5,440万円、月々の返済額は約13.0万円

2018年1月の金利は1.08%、東京23区にある中古マンションの平均価格4,479万円。総返済額は約5,380万円。月々の返済額は約12.8万円

 上記の通り、東京の中古マンション価格は約1,000万円上昇しているものの、総返済額や月々の支払額はほとんど変わっていません。これは、住宅ローン金利が低下した効果です。

中古マンション価格は上がったものの、月々の返済額は昔と比べてほとんど変わっていません。価格相場が高いからといって、購入を控えるべき状況とは言いきれないでしょう。

金利が上昇すれば価格に下落圧力

 中古マンション価格が上昇しても、住宅ローン金利が低下すれば買主の負担は変わりません。逆に家計への負担を考えると、買主は月々の返済額を大きく上げることはできません。そのため、住宅ローン金利が上がれば中古マンション価格に大きな下落圧力がかかるのは間違いないでしょう。

 また、今後の住宅ローン金利に着目すれば、東京の中古マンション価格相場がさらに上昇していくことはなさそうです。住宅ローン金利の指標となる『国債の利回り』が大きく低下することは、今のところ、あまり考えられないからです。

住宅ローン金利はいつ上がる?

 住宅ローンの金利が、どの時期にどの程度上昇するか、確定的に予測することは不可能です。その前提はあるものの、内閣府が2019年1月に発表した『中長期の経済財政に関する試算』中の長期金利の動向予測を、参考としてご紹介します。

 予測によると、2020年まで現在の水準を維持されますが、長期金利は2021年から上昇に転じるようです。予測通りになれば、2022年から住宅ローンの金利が上がり、中古マンション価格は下落に転じてしまいそうです

 今の中古マンション価格相場と内閣府の金利予測を考えると、今が売り時であることは間違いないといえます。

買い時は消費税の増税前か後か?

 現時点で、2019年10月に消費税が8%から10%に改定される予定です。

 消費税増税による中古マンション価格への影響を予想することは難しいです。中古マンションの売主は個人であることが多く、売主が個人の場合は売却価格に消費税がかからないためです。

 仲介手数料や司法書士報酬には消費税がかかりますので、少しでも節約したいのであれば消費税増税の前に購入することをお勧めします。

 消費税増税による価格下落が心配であれば、消費税増税前に売却しておくといいでしょう。

買い時はオリンピックの前か後か?

 オリンピック後、先進国においては大きな経済変動はみられないことが指摘されています。ロンドン五輪においては、英国政府が「五輪が不動産市場に与えた影響は、なかった」としたレポートを公表しているようです。

 巷ではオリンピック後に中古マンション価格が急激に下落するという噂がささやかれていますが、明確な根拠はなさそうです。

中国人の爆売りで価格は暴落するか?

 中国の富裕層が買い漁っていたマンションが爆売りされ、中古マンション価格が暴落するという噂もささやかれています。

 そもそも、この暴落論には、具体的な供給量、供給と価格の関連性、過去の類似事例など、明確な根拠は示されていません。現に、中国人爆売りによる暴落論は2017年頃からすでにありますが、暴落するどころか中古マンションの価格相場は上昇しました。

 また、投資家はマンションを空室で保有せず、賃貸で運用します。賃貸運用されているマンションの価格は、賃料と投資家が求める利回りで決まります。例えば、中古マンション価格が半分になると賃料も半分にならないと辻褄があいませんが、そうなることはほとんど考えられません。なぜなら、住宅の賃料は経済変動で大きく上下動しないからです(硬直性が高い)。そもそも、投資家が大幅に割安な価格で売りさばく理由も見当たりません。

中古マンションは築25年まで価格下落

 中古マンションの売り時・買い時を考える上で、把握しておくべきは『価格と築年数の関係』です。一般に中古マンションは、築年数が経過するほど価格が落ちます。築5年の中古マンションと築15年の中古マンションで価格に差があるのは、当然ですね。

 公益社団法人東日本不動産流通機構が2019年2月に公表した『中古マンションの築年帯別平均価格(築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年)より)』によると、中古マンション価格相場は築25年頃まで価格が落ちていく傾向がみられます。

参照元:中古マンションの築年帯別平均㎡単価(築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年)|公益財団法人 東日本不動産流通機構 2019(平成31)年2月27日)

年1.5%の価格下落

 都心3区における2018年の成約価格を対象に、築年数による価格下落を調査しました。

 その結果、築25年程度まで価格下落が進むのは、東日本不動産流通機構の公表データとも一致しました。下落率は年に約1.5%で、25年間で約40%下落することになります。(注)すべてのマンションで、一律に同じ傾向がみられるわけではありません。

 5,000万円の中古マンションであれば、何もしなくても年に75万円の価格下落が起きることになります。

 早く売却するほど、高く売れる可能性は高くなります。逆に、購入するのであれば、築年数が経過するほど値ごろ感は出てきます

まとめ

  1. 東京の中古マンション価格相場は、2013年→2018年に約40%上昇。
  2. 今が売り時で、経年による価格下落を考慮すると早ければ早いほどいい。
  3. 価格相場は上昇したが住宅ローン金利は低下したため、返済額は大きく変わらない。そのため、価格相場が高いからといって、購入を控えるべきとは言えない。

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