このマンションは、竣工時に瑕疵(不具合)が大規模修繕工事の際に発覚しておりました。当初は耐震等級2で売り込みがされていましたが、実際には等級1にも満たないという耐震性に問題がある状況であったため、元々グループ会社である「さくら事務所」で修繕工事のコンサルティングを行っておりました。
地方移住が念頭にあった売主様のご意向もあり、以前より売却の相談があったのですが、補修工事の見通しがたたない時期に売却をしても買い手がつかないため、修繕の見通しある程度たったタイミングでの売却のご提案をしており、その後時期が来た際にサポートにはいらせていただきました。
本件のポイントは、大きく2点あると考えています。
・売却のタイミングを見極める
・修繕スケジュールを共有し、完了報告までしっかり行う
売却のタイミングは非常に重要です。タイミング次第で売却の条件は変わり、スムーズに売れるかどうかも違ってきます。今回は競合の売り出しが無い時期を慎重に見定めた結果、売り出し開始すぐに10件近くの内覧希望があり、非常に良いタイミングだったと思います。
また、当然お客様に物件の不具合と修繕についてお伝えするわけですが、ただ単に「不具合は修繕予定です」とだけお伝えするのではなく、管理組合としてどのようなスケジューリングで補修工事を行い、最終的に耐震等級2に戻ったタイミングで完了報告も行う旨をしっかりお伝えしました。
通常、多くのマンションは不具合に関する検査を行っておらず、仮にあった場合でもお客様もその詳細を知ることなく契約が進みます。そのため、今回のケースでは竣工時の不具合を修繕している状況を逆手にとり、このタイミングでお客様に不具合の状況と改善スケジュールを明確に提示することで、逆にいつも以上に安心感を高められ、結果的に価格も100万円の買い上がりで売却完了できました。グループ会社のさくら事務所とのシナジーを発揮し、戦略的に売却ができた良い例かと思います。
この物件は正直、築年数もたっているし、不具合もあり買った値段よりも下がるものだと思ったけど、こんな値段で売れると思わなかったです!山本さんの戦略を信じて本当に良かったです。本当にありがとうございました。
マンション全体の不具合が発覚した際には、風評被害等により資産価値が落ちないか心配する方も多いと思います。一方、管理組合として不具合と向き合い、しっかりと修繕がなされた場合には、全体の検査を行い、不具合をしっかりと修繕したというお墨付きを得ることもできるため、プラスと捉えることも可能となります。
今回のケースでは、グループ会社のさくら事務所と連携し、「安心」をしっかりと買主様へ伝えることで資産価値を維持・向上させた好例だと思います。また、主体的な管理運営を行っているマンション管理組合は、トラブル対応能力も非常に高いため、管理会社任せの管理をしているマンション管理組合とは一線を画すものだと思います。